原著
十二指腸乳頭炎の病理組織学的検討
福田 武隼
東京女子医科大学消化器病センター
十二指腸乳頭炎について,乳頭形成術組織標本を主に検索し剖検例を対象に病理組織学的検討を行った.乳頭部組織学的所見を,乳頭部粘膜の変化,壁内腺管の変化,間質と筋組織の変化,細胞浸潤,破壊性変化(結石によってもたらされたと思われるびらん,潰瘍),十二指腸粘膜の変化の各項目について,乳頭粘膜の過形成,壁内腺管の増生・拡張・のう胞形成,間質の線維化・硬化,筋線維の変性・萎縮と仮性肥厚,細胞浸潤の程度,破壊性変化による組織反応,十二指腸粘膜の過形成などについて,それぞれ比較検討し,炎症によってもたらされた主な組織変化を導きだした.この成績に基づいて慢性乳頭炎を過形成性乳頭炎,腺のう胞性乳頭炎(腺管増生型とのう胞形成型に分けられる),線維性乳頭炎(I度,II度,III度に分けられる)の3つの型とその亜型とに分類した.この分類は生体の基本的反応態度を考慮し,炎性変化と乳頭部組織の反応ないし病変との関係を時間的推移を加味して分類したものである.さらに肝内胆管,総胆管,乳頭部の関係,乳頭部組織変化と加齢との関係について言及した.
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