原著
胃分泌抑制機構と胃・十二指腸潰瘍の外科療法―とくにセクレチンとガストリンの相互関係に関する臨床的検討―
杉山 貢*, 山中 研*, 滝沢 利男*, 丹羽 正幸*, 佐藤 一美*, 杉田 秀雄*, 福島 恒男*, 藤沢 祥夫*, 竹村 浩**, 大久保 高明**, 土屋 周二***
横浜市立大学第二外科教室*, 同 講師**, 同 教授***
生体の調節機構という面から胃酸分泌抑制機構に注目し,消化性潰瘍症例に十二指腸粘膜より抽出したセクレチン(E-286-001)を使用し,手術前後の胃酸とガストリン分泌の変化を検討した.対象は手術前169例,手術後78例であった.手術前ではセクレチンは,各種の胃疾患により胃酸およびガストリン分泌に対する抑制効果に差が生じた.手術後例では幽門洞(ガストリン最密区域)を切除してあるか否かにより差が生じ,迷走神経切断による影響は乏しかった.しかし迷切兼ドレナージ合併術式後では,セクレチンは明らかなる抗ガストリン作用を示した.すなわちセクレチンは,分泌亢進状態のガストリン産生細胞と壁細胞には抑制的に働いていることが判った.消化性潰瘍症に対する手術術式の選択に関して,従来の胃酸分泌態度に加えて,血清ガストリン値を指標とした試みを紹介した.
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