原著
胃癌の大動脈周囲リンパ節転移陽性の5年生存例について
大橋 一郎, 高木 国夫, 小西 敏郎, 出雲井 士朗, 深見 敦夫, 梶谷 鐶
癌研究会附属病院外科
胃癌の手術に際し,リンパ節廊清は最も重要な点であるが,第4群のリンパ節,主として大動脈周囲リンパ節に転移をきたしたものは,根治手術の適応外とされている.しかし,われわれは癌研外科において,1946年から1969年までに大動脈周囲リンパ節陽性例を廓清した188例中,肉眼的に癌が取り切れたと思われる74例(相対非治癒切除)について治療成績を検討し,6例(8.1%)の5年生存例を得た.この6例は肉眼癌型が限局型5例,中間型1例で,S0またはS1であった.大動脈周囲リンパ節陽性例においても,肉眼癌型が限局型で,漿膜浸潤が軽度なものでは,大動脈周囲リンパ節の廓清を積極的に行えば長期生存例を得ることができることを報告した.
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