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第9巻 第3号 1976年5月 [目次] [全文 ( PDF 703KB)]
原著

インシュリンの胃分泌抑制作用について

福島 恒男

横浜市立大学第2外科(主任教授:土屋周二)

 インシュリン投与による低血糖が自律神経を介して胃分泌に与える影響について,交感神経遮断剤を用いて検討した.
 成犬において,histimin(2 mg/kg/hr)刺激下にインシュリン0.2 u/kg静脈投与すると,胃分泌は持続的に亢進したが,0.4 u/kg以上では胃分泌の抑制期が出現した.α-遮断剤(phenoxybenzamin,1 mg/kg)を前投与してインシュリン1.0 u/kgを投与すると胃分泌抑制期は出現せず,β-遮断剤(propranolol 0.2 mg/kg)前投与では弱いながら抑制期は出現した.
 胃交感神経を切断後,インシュリン1.O u/kgを投与すると,胃分泌抑制期は出現しなかった.
 十二指腸潰瘍8症例に対して,インシュリン0.4 u/kgによる胃分泌能と,同量のインシュリン投与前にphenoxybenzamin 0.5 mg/kgを投与して得られた胃分泌能を比較した.胃分泌抑制期は両法においてほぼ出現したが,酸分泌量は後者の方が平均43.2%(P<0.10)高い値が得られた.インシュリン投与後に,著明な血清アドレナリン値の上昇が見られたが,ノルアドレナリン,セロトニン値は著明な変動を示さなかった.
 インシュリンは迷走神経を介して胃分泌に促進的に作用すると同時に,交感神経を介して抑制的に作用している.
 迷走神経切断術の前後におけるインシュリンによる胃分泌能の判定に際して,この交感神経を介した抑制的な作用を考慮する事が重要であると考えられる.

日消外会誌 9: 257-264, 1976

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