原著
食道潰瘍の臨床的検討
遠藤 光夫, 羽生 富士夫, 木下 祐宏, 山田 明義, 井手 博子, 林 恒男, 吉田 操
東京女子医大消化器病センター外科
食道潰瘍は稀な疾患とされてきたが,最近日常の外来でもふえてきていて,下部食道の変形を示すX線所見から,癌との鑑別疾患としても注目されている.自験例124例より臨床的検討を加え,若干文献的考察も加えたが,原因として消化性と考えられるものが多く,男性にやや多く,また,60歳代の高齢者に多くみられている.X線所見では,間接所見から診断を下す場合が多く,その肛門側にあるヘルニア部分の胃粘膜に注目することが大切である.内視鏡所見からは,癌に比べ増殖性の変化の少ないことが特徴で,4型に分類できる.治療法は内科的治療がおもであるが,合併症をおこしたり,症状の強いものは外科治療の適応である.
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