原著
出血性胃潰瘍の分析と緊急内視鏡検査
北島 政樹, 久保田 哲朗, 竹下 利夫, 米川 甫, 伊藤 三千郎, 奈良 圭司, 植松 義和
足利赤十字病院外科
4年9カ月の間に遭偶した上部消化管出血146例中,胃出血例は106例(73%)であった.このうち胃潰瘍が59例(56%)と多く,胃癌は27例(25%)であった.出血性胃潰瘍について,早期内視鏡診断を行い,内視鏡所見と病理組織および微細血管構築像を比較検討した.
緊急手術を要した出血性胃潰瘍は,左胃動脈領域の潰瘍で内視鏡上血管露出を認めるものが多く,潰瘍の性状は浅く円形でfoldの集中もなく潰瘍集辺の反応の欠如したものであった.
血管露出潰瘍を微細血管構築像で検討した結果,慢性潰瘍では微細な瘢痕血管が著明で露出血管も細いのに対し,急性潰瘍の血管露出例は正常血管構造を保ち,粘膜下層の太い血管の露出がみられ,多量の出血が予想された.
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