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第9巻 第4号 1976年7月 [目次] [全文 ( PDF 658KB)]
原著

肝壊死における上部消化管血行動態変動

真辺 忠夫, 鈴木 たかし, 本庄 一夫

京都大学第1外科

 肝壊死に合併する上部消化管障害の成因を血行動態面より解明すべく家兎を用い肝20%葉の結紮壊死を作成し,上部消化管各部各層の血流量をradioactive microsphere法により測定した.肝壊死作成24時間後,約24%の家兎胃粘膜には糜爛ないし潰瘍がみとめられ,食道,胃体部,前庭部,十二指腸各部粘膜は著明な血流減少を来した.この血流減少傾向は,肝壊死除去6日後も同様にみとめられ,同12日後なお,食道,前庭部,十二指腸の血流は低下していた.さらにこれらの血流減少傾向は正常家兎において脱血後,肝壊死家兎血を輸血した場合にもみとめられ,肝壊死時の上部消化管障害の発症原因として,壊死肝より血中に逸脱する物質による上部消化管粘膜の著明な血流低下が示唆された.

日消外会誌 9: 431-436, 1976

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