特集
胃全摘・ρ吻合の術後障害および術後愁訴
島津 久明, 安達 秀治, 富山 次郎, 丸山 寅巳, 草間 悟, 石川 浩一
東京大学第1外科
過去12年間に当教室において施行した胃全摘症例の総数は190例で,その手術死亡率は3.7%であった.初期にはBillroth II法型吻合やRoux-Y型端々吻合などを実施したが,その後の大多数の症例にはρ吻合を採用した.全症例の93.7%の原疾患は胃癌で,これらの症例の累積5年生存率は25.6%であった.ρ吻合施行症例においても,体重の回復状況は不良で,調査した2/3の症例が術前の入院時体重よりも5%以上の減少を示していた.これに対して,各種の愁訴の発生頻度はあきらかに改善され,とくにρの長さを30 cm以上にするようになって以来,重症の逆流性食道炎が発生することはきわめて稀になった.なお術後3年以上を経過すると,徐々に無胃性貧血が出現する傾向が認められた.
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|