原著
肝外閉塞性黄疸時および閉塞解除後の肝細胞ミトコンドリア機能に関する研究
岩月 淳
東京大学第1外科(主任:石川浩一教授)
閉塞性黄疸時および閉塞解除後の肝の病態を検討するために,ラットを用いて機械的に発症させた閉塞性黄疸を任意の閉塞期間後に解除しうる新たな術式を考案した.この実験モデルを用いて閉塞性黄疸時および閉塞解除後の肝の病態を肝ミトコンドリア(Mtと略)の機能面から検討した.総胆管閉塞5日後の黄疸肝Mtは,呼吸曲線の分析,呼吸酵素の測定,内膜Mt ATPaseの検討から酸化的リン酸化反応の脱共役を主とする障害をうけていることを認めた.総胆管閉塞5日後に閉塞解除を行うと,血清総ビリルビン値は円滑に正常値に低下したにも拘らず,肝Mtの機能障害の回復は遅延した.このことは外科臨床上術後管理の上で留意すべき事実と考えられた.
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|