原著
十二指腸潰瘍に対する迷走神経切離兼幽門成形術後の胃酸分泌
竹島 徹*, 平島 毅, 原 輝彦, 川村 功, 竹内 英世, 武藤 護彦, 小越 章平, 碓井 貞仁, 久賀 克也, 丸山 達興, 広田 和俊**, 岩崎 洋治*, 佐藤 博
千葉大学医学部第2外科, *筑波大学臨床医学系外科, **広田胃腸病院
教室では十二指腸潰瘍に対する外科的治療法の一つとして迷走神経切離兼幽門成形術を90例に行った.本法術後の減酸効果は全体としてほぼ満足すべき結果であった.とくに完全迷切例では術後早期(術後3~4週)と遠隔時(術後1~10年)のいずれ場合も,減酸率は60~80%で良好であった.しかしながら不完全迷切例では,術後早期には満足すべき減酸効果を示したが,遠隔時では基礎分泌とインスリン胃酸分泌が上昇回復して,術後早期よりかなり高値となり,減酸効果は不十分で潰瘍再発の可能性が生じる.再発潰瘍例は90例中5例に発生し,5.5%の頻度となる.再発潰瘍例の遠隔時胃酸分泌の特長は,不完全迷切例と同様に刺激後胃酸分泌が高値を示す一方,基礎分泌が不完全迷切例より有意に高いことであった.
索引用語
十二指腸潰瘍, 迷走神経切離兼幽門成形術, 減酸率, 不完全迷切率, 術後潰瘍再発率
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