原著
術後再発潰瘍―いわゆる吻合部潰瘍の成因と手術方針を中心に
島津 久明, 谷 昌尚, 高橋 忠雄, 朝隈 貞雄, 井原 悠紀夫, 平田 忠, 町田 武久, 佐々 英達, 草間 悟
東京大学第1外科
27例の吻合部潰瘍症例について検討した結果,その成因は非根治的な手術方針(10例),不適切な手術手技(16例)および潰瘍発生促進薬剤の投与(1例)の3群に大別された.非根治的な手術方針による群の初回手術術式別内訳では胃空腸吻合単独が7例で最も多く,そのほかはZ-E症候群に対する幽門側胃切除2例と潰瘍穿孔部単純閉鎖1例であった.不適切な手術手技による群では幽門側胃切除の切除範囲不足と考えられるものが14例を占めていたが,これらには全身的な背景因子の関与が推測される症例もあった.外科治療においては,その成因に立脚して十分な減酸効果を発揮する術式を採用すべきであることを述べた.
索引用語
吻合部潰瘍, ガストリン, Zollinger-Ellison症候群, 幽門側胃切除, 近位選迷切兼幽門形成
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