原著
大腸癌によるイレウス症例の検討
犬飼 治, 服部 龍夫, 三浦 馥, 石榑 秀勝, 小林 陽一郎, 家田 浩男, 近藤 成彦, 山崎 昌宏, 弥政 洋太郎, 中神 信男1)
名古屋大学医学部第1外科, 名古屋第一赤十字病院外科1)
過去約11年間に手術を行った大腸癌症例のうち,イレウスを生じ緊急手術を行った症例49例(12.6%)について検討を加えた.大腸癌によるイレウス患者は高齢で一般状態不良のものが多く,手術直接死亡率は16.3%と高率であり,治癒手術率は結腸癌44.7%,直腸癌27.3%と低く,癌進行度も高度のものが多かった.しかし治癒手術例では5年生存率は50%となり,非イレウス例の5年生存率51.8%と差がなかった.よって癌の根治性の面からはできるだけ早く病巣をとりのぞいた方が良いと考えられるが,一般状態の悪い症例で局所所見が切除可能である場合は二期に分けてでも確実な治癒手術を行うようにすべきであると考えている.
索引用語
大腸癌, イレウス, 手術術式, 術後合併症, 予後
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