原著
胃癌の発生・増殖におよぼす副交感神経の影響について
土居 弘明
東京医科歯科大学第1外科学教室(指導:村上忠重教授)
胃癌と自律神経特に副交感神経との関係を調べるために胃癌の切除胃の必要個所より小標本を採取してアセチルコリンエステラーゼ染色を施して検討した結果,1)胃癌組織中には約半数の症例において正常の粘膜には見られない異常に太い副交感神経線維が認められ,これはまた面積の大きい浸潤性の強い癌の場合に出現頻度が高かった.2)癌巣に隣接する周囲の粘膜では副交感神経線維の萎縮が見られ癌の近くではこれがとくに顕著であった.これは癌に随伴する慢性胃炎の影響およびとくに癌の近くでは癌の化学的・物理的影響がおよんでいるためであろうと考えられた.3)副交感神経が積極的に癌の増殖を促進ないし阻止するような性質は認められなかった.
索引用語
胃癌の発生・増殖, 副交感神経, Karnovsky法, アセチルコリンエステラーゼ, 慢性胃炎
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