原著
消化器癌におけるCarcinoembryonic antigen(CEA)の臨床的検討
橘川 征夫
千葉大学第1外科学教室(主任:伊藤健次郎教授)
大腸癌55例,胃癌51例などの消化器悪性腫瘍症例113例に対して,radioimmunoassayのone step sand-wich(平井法)により血清CEAを測定した.さらにPHAによる末梢リンパ球幼若化能を同時に測定することにより,担癌症例のより正確なmonitoringが可能である結果を得た.
1)健常人28名の血清CEA値は2.74±1.06 ng/mlであり,「平均値+2×標準偏差」=4.9 ng/ml以上を異常値とした.
2)胃癌curative例を除いて,胃癌non-curativeおよび大腸癌例の術前CEA値は,健常人との間にp<0.001において有意差を認めた.また,大腸癌のDukes分類ではA・B・Cの順に異常高値出現率が大きかった.
3)腫瘤切除により,血清CEAは一度減少し,その後curative例ではさらに減少するがnon-curative例では再び上昇する傾向にあった.
4)大腸癌27例についてCEAと末梢リンパ球幼若化能(SI)の両者を,制癌治療中,経時的に測定した.術後経過良好の例は,「CEAの低下・SIの上昇」という逆相関がみられることより,これを持続させるような制癌治療が望ましいと考える.
索引用語
Serum carcinoembryonic antigen, Stomach cancer, Colorectal cancer, Correlation between CEA and lymphocyte blastogenesis
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