症例
XIII因子と創傷治癒 XIII因子製剤使用により完治せしめえた難治性腸瘻の1症例
大里 敬一, 武田 成彰, 松永 政幸, 高木 輝, 富永 隆治, 一宮 仁, 古賀 明俊
九州大学第1外科(主任:中山文夫教授)
自然腸瘻形成後,再三腸瘻閉鎖を目的とした開腹手術が行われ,その度に創離開,縫合不全を繰返し,皮膚潰瘍を伴う2つの腸瘻を有する患者にXIII因子活性の軽度低下が認められた.XIII因子製剤を輸注して血中XIII因子活性を正常域に維持したところ皮膚潰瘍は治癒した.そこで完全経静脈栄養下にXIII因子製剤を補給しながら手術と術後管理を行うことによって難治性腸瘻を閉鎖することができた.
この事実は,XIII因子活性の低下が本症例の創傷治癒障害の一原因として関与していたことを示し,手術前後に本因子の変動を検索することが,術後合併症予防上有意義であると考えられた.
索引用語
難治性腸瘻, 創傷治癒, XIII因子, 完全経静脈栄養
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