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第10巻 第5号 1977年9月 [目次] [全文 ( PDF 1141KB)]
原著

幽門括約筋保存胃切除術後の残胃内容排出に関する研究

前田 和良

和歌山県立医科大学外科学講座消化器外科(指導:勝見正治教授)

 胃遠位側切除後残胃の大きさおよび幽門括約筋の温存程度が,胃内容の排出にいかに影響するかを,胃・十二指腸内圧の変化の面より,実験的・臨床的に検討した.
 その結果,残胃が小さくなるほど内容排出は急速となり,幽門括約筋の温存量を多くすれば内容排出は緩徐となった.一方,胃内圧は残胃が小さくなるほど上昇し,しかも内容負荷により著しく上昇するが,幽門括約筋の温存によってむしろ幾分緩和された.しかし,幽門括約筋を温存しても広範囲胃切除を行えば,胃内圧が著しく高くなり急速な排出を示した.そこで,幽門括約筋を温存したうえに階段状胃切除を併用して,残胃の拡大を計ったところ,胃内圧の上昇は軽度となり,胃内容の急速排出が防止されたため,臨床的に高位胃潰瘍症例に応用し満足すべき結果を得た.

索引用語
幽門括約筋保存胃切除術, 胃内容排出, 胃・十二指腸内圧, 階段状胃切除術

日消外会誌 10: 459-469, 1977

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