原著
特発性門脈圧亢進症(バンチ症候群)の成因に関する考察―免疫異常を伴う疾患の合併―
梅山 馨, 吉川 和彦, 由井 三郎, 山下 隆史, 大野 良興, 西野 光一, 深水 昭, 黄 河清
大阪市立大学医学部第1外科
バンチ症候群,いわゆる特発性門脈圧亢進症の成因に関しては,従来より,肝に原因を求める説,脾に原因を求める説があって,いまだ明らかにされていない.
最近,われわれは免疫異常が原因と推測されている全身性進行性硬化症の1例に汎血球減少,門脈圧亢進,巨大脾腫,しかも,肝には硬変像みられずHBS抗原を証明した.他の1例ではLupoid肝炎の像を呈し,同じく,門脈圧亢進,巨大脾腫を有し,ともに免疫学的異常がみられた.
かかる症例から,本症の門脈圧亢進,脾腫は単なるうっ血性脾腫のみでなく,何らかは感染を契機とした免疫異常が関与しているものと推測された.
索引用語
特発性門脈圧亢進症, バンチ症候群, 全身性進行性硬化症, Lupoid肝炎, 免疫異常
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