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第10巻 第6号 1977年11月 [目次] [全文 ( PDF 775KB)]
原著

多血症と胃切除

遠藤 篤, 山口 敏朗, 塩崎 梓, 岡村 貞夫, 勝見 正治, 津田 忠昭1), 中野 康宏1)

和歌山県立医科大学消化器外科, 同 内科1)

 末梢血中の赤血球数が著しく増加した状態を多血症といい,この合併症には外科的療法の適応となるものも多い.なかでも胃,十二指腸潰瘍の合併は多くみられるが,その手術報告は本邦では皆無に近い.
 われわれは著明な吐血,下血を主訴とした消化性潰瘍を伴った多血症2例を経験し,それぞれ胃全摘,胃半切除を行い,良好な結果を得た.多血症はその性質上,出血傾向と同時に不完全な止血機構をも有するため,消化性潰瘍を合併した場合,顕出血例が多く,手術適応となるが,術前の血行動態へのコントロールが十分に行われていれば,むしろ積極的に手術に踏みきるべきである.

索引用語
多血症, 消化性潰瘍, 出血傾向, 不完全止血機構, 手術適応

日消外会誌 10: 634-641, 1977

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