原著
消化管縫合不全症例の高カロリー輸液の成績
辺 秀俊, 鄭 容錫, 笠井 孝洋, 中尾 昭治, 長山 正義, 奥野 匡宥, 紙野 建人, 梅山 馨
大阪市立大学医学部第1外科
消化管縫合不全に対する高カロリー輸液は腸管の安静,消化管液の減少,栄養状態の改善をもたらし,縫合不全の自然治癒を期待しうる.著者らは教室における最近3年間の消化管術後の縫合不全の発生状況,および縫合不全20症例の高カロリー輸液成績について検討した.縫合不全は全消化管手術428例中約5.8%に発生し,高年齢にその頻度が高く,T.P., Alb., RBC,GOTの異常と縫合不全発生に関連がみられた.高カロリー輸液による縫合不全の治癒率は自然治癒60%,手術治癒10%,計70%であったが,この成績を向上させるには,併存する腹膜炎に対する有効な排液処理ならびに,栄養不良の患者に対する術前よりの高カロリー輸液が必要と考えられた.
索引用語
高カロリー輸液, 縫合不全, 腸瘻
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