原著
胆のう“潜在癌”の臨床と病理―7例の検討および組織学的精査の必要性について―
武藤 良弘, 内村 正幸, 脇 慎治, 鮫島 恭彦, 林 輝義, 門野 寛, 岡本 一也1)
浜松医療センター外科, 浜松医療センター病理1)
胆石ないし胆のう炎の診断で胆摘を行い,組織学的検査の結果胆のう癌であった7症例を臨床病理学的に検討した.年齢は54歳~72歳に分布し,平均年齢66.3歳で,女性6例,男性1例であった.全例胆石を有し,切開胆のう所見では癌占居部に一致して粘膜の粗大化が目立った.組織学的検査の結果,粘膜癌5例,漿膜下層に浸潤を示す例2例で,これらの組織型はpapillary adenocarcinoma 4例,tubular adenocarcinoma3例であった.これら全例の手術方法は単純胆摘で,他病死した1例を除いて全例生存中である.胆のう微小癌や非隆起性癌は肉眼的発見が困難であるので,組織学的精査をかならず行い,その結果により二次的拡大根治術を行うべきだと考える.
索引用語
胆のう癌, 潜在癌, 粘膜内癌
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