原著
70才以上高令者症例の開腹術後合併症について
副島 清治, 加固 紀夫, 角田 秀雄, 小泉 亮道, 石川 義信
弘前大学医学部第1外科学教室
高齢者開腹術の治療成績の向上のため,とくに術後の合併症について教室の症例の手術前状態,手術後経過とともに分析し,合併症併発症例,死亡例の手術前,後状態をretrospectiveに観察した.高齢者開腹術後の合併症は循環器系,消化管合併症の発現が多く,合併症による死亡率は,気管支炎,肺炎,縫合不全,腹膜炎などが高かった.合併症併発症例の多くは,術前何らかの異常所見を有しており,とくに低蛋白血症,腎機能障害,肝機能障害などを術前示す症例は,術後厳重な経過観察が必要である.高齢者に対しても高カロリー輸液による栄養状態の改善は,poor risk症例の開腹術後合併症発現に対する予防として,また積極的な治療の一手段として有用であった.
索引用語
老人外科, 高令者開腹後合併症, 高令者高カロリー輸液
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