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第11巻 第7号 1978年7月 [目次] [全文 ( PDF 976KB)]
原著

噴門癌(胃上部癌)の下部食道への浸潤を考慮した切除術式―縦隔内吻合術について―

三戸 康郎, 平野 雅士, 犬塚 貞光, 犬尾 修三1)

福岡大学医学部第2外科, 犬尾外科医院1)

 食道浸潤を有する上部胃癌(腺癌)の外科治療に際しての問題点を挙げ,その根治的切除術に対する積極的開胸手術,姑息的切除例を含む経腹的手術に対する縦隔内吻合術の適応および吻合方法に関し,主として食道浸潤の範囲および食道切除範囲の問題を中心に論じた.
 食道浸潤を有する上部胃癌132例の治癒切除率は39.4%と低率で,腹膜播種,肝転移,漿膜外浸潤などのため,絶対的非治癒切除となったものが34.8%にも認められた.この他に食道切断端に癌を遺残させたために非治癒となったものが9.8%あり,食道切除範囲を充分とるためには,食道浸潤の口側先進部が限局型を示す例で2 cm以上,非限局型を示すもので4 cm以上離して切除すべきこと,このために経腹的操作の場合,縦隔内食道切除吻合の必要なことならびにその吻合方法として食道空腸単層吻合法および器械吻合法の工夫について述べた.

索引用語
下部食道噴門癌, 食道浸潤型, 縦隔内食道空腸単層吻合法, 機械吻合法

日消外会誌 11: 487-496, 1978

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