原著
胃癌リンパ節転移と細胞性免疫
田中 承男, 小玉 正智, 藤田 政良, 山岸 久一, 稲葉 征四郎, 井上 善博, 小原 正宏, 寺田 信国, 石橋 治昭, 松本 学, 橋本 勇
京都府立医科大学第2外科学教室
胃癌患者をリンパ節転移陽性例:n(+)例と,陰性例:n(-)例に分け,領域リンパ節と全身の細胞性免疫につき比較すると,n(+)例では細胞性免疫能の低下が観察された.即ち,末梢血リンパ球のPhytohaemagglutinin-P(以下PHAと略す)幼若化率は両者に差は見られないが,T,B細胞数はn(+)例で低下がみられた.PPD皮内反応陽性率はStageが進むと低下した.リンパ節内T細胞分布率も転移陽性リンパ節では低い.n(-)例のリンパ節sizeは,n(+)例のリンパ節より大きく反応性腫大が考えられる.リンパ節反応のSinus histiocytosis(SH)とLymphoid cell reaction(LR)はn(-)例で有意に高く,乳癌,大腸癌でも同様であった.リンパ節のMacrophage Inhibitory Factor(MIF)活性は,転移により消失するものが多く,リンパ節の抗腫瘍性は免疫反応によることを示唆する所見をえた.
索引用語
胃癌, リンパ節転移, リンパ節反応, 細胞性免疫, マクロファージ遊走阻止試験
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