原著
悪性閉塞性黄疸の手術のRiskの予測の試み―統計学的解析による―
松末 智, 柏原 貞夫, 倉本 信二, 田中 英夫, 佐藤 守, 中村 義徳, 酒井 知昭, 宮下 正, 前谷 俊三1)
天埋よろづ相談所病院腹部外科, 京都大学医学部第1外科1)
天理よろづ現談所病院で過去12年間に経験した,悪性腫瘍による閉塞性黄疸(悪性閉塞性黄疸)は,114例である.この症例を手術死亡群17例と耐術群に分け,術前の各検査データー,病歴などに統計的解析(2群間のStandardized Distance,Probit解析)を行い,本症を有する患者の手術のRisk予測を試みた.黄疸が強く,高齢で,BUNが高く,黄疸の進行度が大きい膵癌の患者の手術死亡率が高くなる傾向を見いだした.しかし,厳密な意味でのCritical pointの設定までには至らず,新たな症例の予測を行うには,解析に用いた症例数が少なすぎる点は向後の検討を要す.
悪性閉塞性黄疸の治療方針(一期手術か,二期的手術かPTCDを行うか否か等)を決定するための判定基準の設定が必要なことを強調し,その1つの試みを提案する.
索引用語
閉塞性黄疸, 手術のRisk, 胆管癌, 閉塞性黄疸の予後, Probit解析
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|