原著
非定型的選択的近位迷走神経切離後の胃運動
福田 徹夫, 桑島 輝夫, 森下 和哉, 蔵本 守雄, 河内 護, 島崎 安雄, 喜多 孝志, 古味 信彦
徳島大学第1外科
消化性潰瘍の外科的治療の1つであるSPVは適応基準のみならず,その手術手技にも十分な配慮が必要である.著者らはSPV施行中損傷切離しやすい幽門洞前枝あるいは後枝に着目し,一側の幽門洞枝が切離された場合,これをATY・SPVと定義し,胃運動機能にどのような影響をおよばすのかイヌを用いた慢性実験により筋電図学的に検討した.
幽門洞前枝切離後のATY・SPVでは伝播速度はSPVに比較して軽度増加し,前枝は伝播速度に対して抑制的機能を有していると推察された.放電間隔はfeeding早期にはSPVに比較して軽度減少した.胃壁の収縮形式は正常胃と同様であった.
幽門洞後枝切離後のATY・SPVでは伝播速度はSPVに比較してほぼ同様であり,放電間隔はSPVに比較してfeeding早期に延長した.
臨床例では2例中1例に胃排出時間の軽度遅延をみた.
索引用語
ATY・SPV, 筋電図, 胃運動機能, 不完全迷切
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