原著
消化管縫合不全に対する高カロリー輸液の効果
藤田 秀春, 正司 政夫, 能登 啓文, 上田 博, 宮崎 仁見, 八尾 直志, 磯部 芳明, 米村 豊, 宮崎 逸夫
金沢大学医学部第2外科
縫合不全に対する高カロリー輸液(IVH)の治療効果を検討した.縫合不全症例147例を,IVH(+)69例,IVH(-)78例の2群に分け,それぞれを重症度別にI度からIV度に分類した.全体の治癒率ではIVH(+)58.0%,IVH(-)44.9%で大差はなかったが,重症度に応じた治癒率では,I度100%:100%,II度100%:91.3%,III度52.6%:24.3%,IV度38.9%:0%で重症例において明らかにIVHの効果がみられた.II度とIII度について,自然治癒までの期間を比較したところ,II度14日:40日,III度22日62日とIVH(+)で治療期間の著明な短縮を認めた.敗血症の発生,インシュリンの使用頻度では重症,軽症間に差はなく,縫合不全に対するIVHの効果が確認された.
索引用語
高カロリー輸液, 縫合不全, 腹膜炎
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