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第11巻 第12号 1978年12月 [目次] [全文 ( PDF 922KB)]
原著

外科的立場より老年者胃癌と比較した若年者胃癌の特徴

白鳥 常男, 中谷 勝紀, 小西 陽一1)

奈良県立医科大学第1外科, 奈良県立医科大学ガンセンター腫瘍病理1)

 外科的立場より若年者と老年者胃癌を比較し,若年者胃癌の特徴について検討した.
 われわれの施設での若年者胃癌は全胃癌の2.1%で男女比は,1:1.9と女性に多く,初発症状では,若年者に心窩部痛が半数以上にみられ老年者に比べ多かった.主訴でも心窩部痛が最も多かったが,吐血が老年者に比し比較的多く見られた.また,若年者では癌が進行しても栄養状態はおかされず大部分が進行癌で発見され,他臓器浸潤,腹膜転移のために非胃切除,非治癒切除になるものが多かった.肉眼的には,陥凹型,Borrmann 4型が,占居部位ではM,Cが多く,組織学的には低分化型でINF γが多かった.生存率では,Stage I,IIでは良好であるが,大部分は,Stage IVで予後不良であった.
 以上は若年者胃癌の特徴的臨床像であるが医師の立場より若年者とて胃症状のある者に対しては,癌を否定せず積極的に早期発見,治療することにより,若年者胃癌の治療成積向上につながるものと考えた.

索引用語
若年者胃癌, 老年者胃癌

日消外会誌 11: 985-994, 1978

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