原著
胸壁前食道胃吻合術における縫合不全の対策とくに食道胃後壁吻合
遠藤 光夫, 木下 祐宏, 山田 明義, 井手 博子, 吉田 操, 林 恒男, 荻野 知巳
東京女子医科大学消化器病センター外科
食道再建術のうち,胸壁前食道胃吻合はその安全性の反面,吻合部の縫合不全のおきやすいことが指摘されてきた.今回,食道と胃の吻合を挙上胃の後壁に端側吻合することにより,縫合不全の発生をいちじるしく改善することができたので,その術式を中心に報告する.挙上胃の作成には,右胃動静脈をかなり温存した大きい胃管とし,伸展が不十分の際は,胃管の漿筋層を輪状に切離して伸展をはかり,食道胃吻合は,挙上胃の最先端より2 cm肛側の後壁に,層々吻合で行うというのが本術式の一連の操作である.従来の40%に近いし開率を,小縫合不全のみの3.6%に改善することができた.
索引用語
食道癌, 食道再建法, 縫合不全
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