原著
胆のう癌に類似する胆のう炎の臨床病理学的検討
武藤 良弘, 内村 正幸, 脇 慎治, 林 輝義, 鮫島 恭彦, 松元 定治, 立花 正, 門野 寛, 岡本 一也1)
浜松医療センター外科, 同 病理1)
胆のう壁に組織球性肉芽腫を有する摘出胆のう35例を対象にretrospectiveに臨床病理学的に検討した.本症は急性胆のう炎発作後数カ月を経過していて,入院時堅い胆のう腫瘤を触れ,X線検査で胆のう造影陰性であり血管造影で胆のう癌と類似の像を呈した.手術に際して胆のう剥離困難であって,全例胆道に結石嵌頓を認めた.肉眼的に胆のうは急性と慢性胆のう炎の中間的形態を示し,肥厚した壁内に肉芽腫性結節がみられた.この肉芽腫は組織球を主体とするもので,胆のう全体に分布する傾向が認められた.本症は胆のう癌に類似し,特異な病理像を有するので胆のう炎の一型として取扱うべく,“亜急性閉塞性肉芽腫性胆のう炎”と称する病名を提案した.
索引用語
亜急性胆のう炎, 肉芽腫性胆のう炎, 組織球性肉芽腫, 亜急性閉塞性肉芽腫性胆のう炎
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