原著
急性胃アニサキス症の検討―とくにX線診断について―
小田原 良治, 西 満正, 野村 秀洋, 愛甲 孝, 金子 洋一, 川路 高衛, 萩原 一行, 川井田 繁, 小玉 徳信, 笠毛 博, 前之原 茂穂, 松下 文夫1), 牧角 仙烝2), 吉森 道男2)
鹿児島大学第1外科(主任:西 満正教授), 野田町立病院1), 園田病院牧角外科2)
急性胃アニサキス症自験例25例の臨床像,X線像の検討を行った.本症は心窩部痛,上腹部痛または嘔気,嘔吐を主訴として来院するものが多く,成人男子に好発.原因となった魚はサバが圧倒的に多く,生魚摂取後10時間以内に好発する.X線所見としては胃角の変形,粘膜皺襞の腫大が高率に認められ,X線上描出可能であったものは22例中19例(86%)と高率であった.胃角変形高度の症例では,胃角近縁に虫体が存在している傾向にあった.
著者らの検索しえた範囲で,胃アニサキス症と胃の変形について論じたものを見出しえなかったが,これらの胃角の変形が本症診断に際しての有用な指標となりうると考えられた.また,自験例は大岩らの急性胃炎の分類の浮腫型の病態を示しており,諸家の報告でも浮腫型を示すものが多いことより,急性胃アニサキス症と浮腫型急性胃炎との間に強い関連性があるとの印象を得た.
索引用語
アニサキス症, 急性胃炎, アレルギー性胃炎, 胃変形
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