原著
胃迷走神経切離術の創傷治癒におよぼす影響について
川崎 恒雄
東京医科歯科大学第1外科教室(指導:村上忠重教授)
胃迷切術による胃血流の減少が,吻合部創傷治癒の遅延を招き,さらに縫合不全の一因となり得るかを雑種成犬26頭を用いて検索した.実験方法は幽門洞切除後Billroth I法再建を行って吻合部創傷治癒を1週間後,2週間後の2群に分け,さらにそれぞれを対照群,迷切群に細分し観察した.観察方法はマイクロアンギオグラフィーによる血管新生の状況と病理組織学的に行った.横隔膜下全幹迷切を負荷した群の1週間後は対照群に比べ著明に治癒が遅延し,それも後壁においてより顕著であった.但し2週間後では迷切群も対照群とほぼ同じ程度の治癒を示し,縫合不全の原因となり得るほどの吻合部創傷治癒の遅延を惹起することは無いとの結論に達した.
索引用語
胃迷切術, 吻合部創傷治癒, マイクロアンギオグラフィー, 縫合不全, 病理組織学的判定規準
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