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第12巻 第5号 1979年5月 [目次] [全文 ( PDF 580KB)]
原著

肝切除術後の呼吸不全に関する臨床的検討

斉藤 英昭, 玉熊 正悦, 金高 伸也, 長尾 桓, 河野 信博, 菅原 克彦

東京大学第1外科

 当教室における術後呼吸不全症例を検討し,肝癌手術症例28例のうち6例にこの発生をみ,とくに肝硬変合併肝細胞癌で肝切除術を施行したものでは46%と高率であった.これらの呼吸不全発生例では非発生例にくらべ,高齢で,術後の肝機能検査所見がより異常値を呈し,術中輸血量も多量であった.この呼吸不全は5例中4例で肝切除術後1~2日目に発生し,また4例に胸部レ線写真上肺水腫の所見がみられた.この肺水腫出現には多量輸血および残存肝機能低下が関与する可能性が示唆された.これらのことから,肝硬変合併肝癌症例の肝切除術後の管理にさいしては,その一担として呼吸管理も重要であると考えられる.

索引用語
肝硬変合併肝癌, 肝切除術, 術後呼吸不全, 術後管理, 肺水腫

日消外会誌 12: 318-323, 1979

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