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第12巻 第9号 1979年9月 [目次] [全文 ( PDF 621KB)]
原著

早期胃癌症例の臨床病理学的検討

中谷 勝紀, 宮城 信行, 高橋 精一, 白鳥 常男, 小西 陽一1)

奈良県立医科大学第1外科, 奈良県立医科大学附属ガンセンター腫瘍病理1)

 教室で経験した早期胃癌140例について臨床病理学的検討を加えた.140例中,m癌64例,sm癌76例であった.リンパ節転移度はm癌では,n0 93.7% n14.7%,n2 1.6%,sm癌ではn0 81.6%,n1 13.2%,n2 3.9%,n31.3%であった.早期胃癌全体の5年生存率は89.5%,10年生存率は68.0%であった.深達度別にみるとm癌では5年生存率92.5%,10年生存率は81.8%であり,sm癌ではそれぞれ87.0%,57.1%であった.次にリンパ節郭清度別生存率をみるとR1では5年生存率82.8%,10年生存率65.0%であり,R2ではそれぞれ88.0%,75.0%であり,R3ではともに100%であった.早期胃癌再発死亡例は6例でsm癌が5例を占め,組織型では分化型が多く,リンパ節郭清度からみるとR1が5例を占め,再発形式としては肝再発が4例と最も多かった.以上より早期胃癌に対してはリンパ節転移度等からみてR2の手術が必要であり,肝再発を予防するため,術中,術後何らかの処置が必要であろう.

索引用語
早期胃癌

日消外会誌 12: 597-603, 1979

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