症例
術前に診断し得た成人輪状膵の1治験例
佐々木 昭治, 高橋 恒夫, 櫛田 正敏, 岩崎 貴, 柏木 秀幸, 羽生 信義, 青木 照明, 長尾 房大, 藤巻 延吉1)
東京慈恵会医科大学第2外科, 市立富士中央病院外科1)
輪状膵は,比較的まれな疾患で,本邦での成人の報告例は38例である.また,多くは十二指腸狭窄・胃十二指腸潰瘍のもとに開腹手術が行われ,偶然発見されており,術前に診断されたものは20%以下である.われわれは,長い経過をとった十二指腸狭窄症例に,内視鏡検査と同時に十二指腸造影を行い,術前に診断しえた症例を経験した.術式は,胃液酸度が高酸を示したため幽門側広範囲胃切除術に選択的迷走神経切離術を付加し,Billroth II法で再建,さらに十二指腸口側断端と十二指腸肛門側とにダイヤモンド型の側々吻合を加え好結果を得た.
輪状膵の診断とその手術々式について文献的考察を加え報告する.
索引用語
輪状膵, 十二指腸狭窄, 十二指腸造影, 十二指腸十二指腸吻合, ダイヤモンド型吻合
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