特集
生存率からみた脾摘の意義―胃癌手術における脾摘の意義と問題点―
吉野 肇一, 春山 克郎, 中村 修三, 松本 純夫, 山田 好則, 磯部 潔, 久保田 哲朗, 熊井 浩一郎, 石引 久弥, 阿部 令彦
慶応義塾大学外科
リンパ節郭清のための脾摘と,免疫学的な立場よりの脾温存について胃癌術後の累積生存率より検討した.
対象は組織学的治癒切除の施行された胃癌初回手術610例である.
上・中部胃癌の検討では,脾温存群の5生率が61.3%,で,脾摘群の47.6%よりも良好であった(P<0.05).中部胃癌で脾門部をすだれ状に郭清して脾温存をした群と,脾摘群を比較すると,前者の5生率は65.4%で後者の26.2%よりも良好であった(P<0.05).
脾門リンパ節転移陽性例の分析では,深達度などからみて,著しい進行癌が多かった.
したがって,脾摘の適応は慎重にすべきであると思われる.
索引用語
胃癌, 脾摘, 癌免疫, リンパ節郭清, 生存率
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