特集
代謝動態からみた肝切除の適応決定
小沢 和恵, 浮草 実, 戸部 隆吉
京都大学第1外科
肝機能の判定には肝細胞と網内系のKupffer細胞の機能の両面より検討する必要がある.肝切除に際して,肝切除後,残存肝のenergy balanceが崩れるcriticalな時期があり,この時期を乗り切ることが出来れば予後は良好である.肝硬変を合併するときにはこのcriticalな時期が延長する.以上のことを念頭におき,術前に耐糖能曲線により肝の機能的予備力を予測し,術中は残存肝組織のcytochrome a(+a3)量によって切除許容量を決定し,術後は血中アセト酢酸/3-ヒドロキシ酪酸比により残存肝の代謝動態を知りそれに応じた対策をたてるべきである.
肝切除に伴う網内系の機能低下の可逆性については現在正確に判定し得る指標はない.
索引用語
肝切除, 代謝動態, 機能的予備力, 肝細胞, Kupffer細胞
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