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第13巻 第3号 1980年3月 [目次] [全文 ( PDF 555KB)]
原著

大腸癌肝転移症例に対する治療(とくに,脾固定術による,経脾経門脈的抗癌剤投与法を中心にして)

由里 樹生, 浜野 恭一, 秋本 伸, 大森 尚文, 亀岡 信悟, 戸田 一寿, 武藤 晴臣, 高崎 健, 小林 誠一郎

東京女子医科大学消化器病センター

 大腸癌肝転移に対する治療の1つとして,われわれは,経脾経門脈的,経肝動脈的同時抗癌剤投与法を考案,施行している.すなわち,経門脈的には,脾固定術を行い,直接脾に抗癌剤を投与する方法,経肝動脈的には,肝動脈内カニューレーションを行い投与する方法である.本法,とくに脾固定術は,長期間抗癌剤の投与を安全かつ容易に行い得,造影によっては,治療効果の判定にも利用できる.現在までに,脾固定術を13例に施行しているが,全例合併症をみていない.その治療効果は,13例中,死亡例7例,平均生存期間5.7ヵ月で,従来の経静脈的抗癌剤投与法(平均生存期間5.9ヵ月)と変りないが,6例は生存中であり,その平均期間は10.3ヵ月と,良い結果を得ている.

索引用語
大腸癌肝転移, 脾固定術, 経門脈的抗癌剤投与, 経肝動脈的抗癌剤投与

日消外会誌 13: 232-237, 1980

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