原著
肝転移を伴う大腸癌症例に対する治療上の問題点
藤本 茂, 赤尾 建夫, 橘川 征夫, 伊藤 文二, 高橋 誠, 南 智仁, 石神 博昭, 宮崎 勝, 伊藤 健次郎
千葉大学医学部第1外科
主腫瘤切除可能の同時性肝転移を伴う大腸癌31例の生存期間と肝転移の進行程度,治療との関係を検討した.術後無治療の肝転移例の平均生存期間は6.9±4.0月であり,生存期間はH因子の進行に伴い有意に短縮した.一方,壁深達度と生存期間の間には明らかな相関を見出し得なかった.肝動脈内化学療法症例は19.0±11.8月の平均生存期間を示し,術後経口補助化学療法を行った12症例中死亡した6症例は21.7±11.3月間生存し,現在生存中の6症例は術後23.7±21.6月経過している.以上,適応の選択により肝転移を有する症例においても延命が期待し得る.
さらに,術後肝動脈内と経口化学療法の適応に触れた.
索引用語
大腸癌, 肝転移, 肝動脈内化学療法, 術後補助化学療法
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|