原著
直腸癌に対する括約筋保存直腸切除術後の合併症
太田 博俊, 高橋 孝, 梶谷 鐶
癌研究会附属病院外科
括約筋保存直腸切除術の術後合併症を検討した.その目的は術後合併症の少ない手技の追求である.われわれの施設で施行された218例について検討した結果,術後合併症の発生率は34.4%で,内訳は手術創感染,イレウス,縫合不全の順に多く,術式別では,貫通式,重積式 前方切除の順に多かった.また歯状線からの腫瘍下縁までの距離別では歯状線に近いほど,その発生率も高かった.以上より注意点を列挙すると,1.術野の汚染および骨盤内出血による血腫の防止.2.吻合部および引出し腸管の支配血管の緊張防止すなわち脾弯曲部ならびに左横行結腸までの十分な授動.3.後腹膜欠損部の丁寧なる修復と腹壁創への腸管癒着防止などであった.
索引用語
直腸癌, 括約筋保存直腸切除, 術後合併症
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