原著
肝圧縮法による実験的門脈圧亢進症と食道静脈瘤形成
武田 仁良, 山名 秀明, 福嶋 博愛, 香月 玄洋, 枝国 信三, 武岡 有旭, 梅谷 敬哲
久留米大学第1外科学教室
実験的門脈圧亢進症の作成法として肝圧縮法を考案し報告したが,今回は主に食道静脈瘤形成について観察してみた.15頭の雑種犬に本法を施行したところ,1頭が術後13日目に肝壊死にて死亡したが,他の14頭は充分に耐術しえた.術後9週目に,食道粘膜下静脈の拡張程度を内視鏡,血管造影,光顕所見にて検索し,4段階に分類してみた.その成績は(1+)が4例,(2+)が7例,(3+)が3例であり,全例に軽度から高度の粘膜下層静脈の拡張が見られたが,粘膜固有層静脈には明らかな拡張は認められなかった.実験的に食道静脈瘤を作成することはきわめて困難とされていたが,本法により術後9週目には多少なりとも粘膜下層静脈の変化が認められ,興味ある結果を得た.
索引用語
実験的門脈圧亢進症, 食道静脈瘤, 肝圧縮法, 粘膜下層静脈, 脾機能亢進
日消外会誌 13: 1008-1015, 1980
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