原著
術後膵炎および膵手術後合併症の予防に関する実験的研究
木南 義男
金沢大学第2外科
術後膵炎や膵酵素に基づく膵手術後合併症を予防する目的で,膵蛋白合成阻害剤投与による外分泌酵素の抑制効果を手術侵襲前後のラット膵につき検討した.膵蛋白合成阻害剤として5-fluorouracil投与を受けた5-FU群と生食水投与の対照群につき,単開腹および膵小手術前後の膵蛋白合成能と膵内酵素活性値を検討した.膵蛋白合成能についてみると,対照群では両手術直後の低下と早期の回復を示したが,5-FU群では術後の回復に抑制が認められた.両手術後,対照群では膵内酵素活性値の保持をみたが,5-FU群では対照群に比し活性値の低下が認められた.これらの所見は膵蛋白合成阻害剤投与が術後における膵酵素の抑制効果を有することを示唆している.
索引用語
術後膵炎, 膵手術後合併症, 膵蛋白合成阻害, 膵内酵素
日消外会誌 13: 1016-1022, 1980
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