原著
消化管術後消化吸収不全の対策―Elemental Dietによる社会復帰の可能性について―
藤田 秀春, 草島 義徳, 渡辺 公男, 竹下 八州男, 小西 孝司, 磯部 次正, 宮崎 逸夫, 佐々木 誠1)
金沢大学医学部第2外科, 金沢赤十字病院1)
消化器外科術後,高度の消化吸収障害のために社会復帰が困難な症例に対し,成分栄養(以下EDと略)の応用によるIVHからの離脱と,社会復帰の可能性について検討した.教室におけるED施行症例は28例で,上記の適応となったものは,膵全摘+胃全摘,膵頭十二指腸切除,胃全摘+膵脾合併切除(Appleby手術),小腸大量切除の4例である.前3者は消化器切除に加えて,腹腔動脈,上腸管膜動脈周辺の広範なリンパ節廓清によって高度の消化吸収障害を来した例であるが,EDによって完全にIVHから離脱し,さらに家庭においてEDを施行することによって,社会復帰が可能となった.しかし小腸大量切除例では,前3者に比較して効果は不良であった.
索引用語
成分栄養, 術後消化吸収障害, 小腸大量切除, 膵全摘, IVH
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