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第14巻 第4号 1981年4月 [目次] [全文 ( PDF 454KB)]
原著

静脈内ブドウ糖負荷試験時の膵内分泌動態におよぼす迷走神経切断の影響

琴浦 義尚1), 山村 武平1), 高橋 徳1), 橋本 直樹1), 吉矢 健一1), 三浦 順郎1), 石川 羊男1), 伊藤 信義1), 森 幸三郎2), 津田 謹輔3), 清野 裕3)

1)兵庫医科大学第2外科, 2)兵庫県立塚口病院内科, 3)京都大学第2内科

 雑種成犬対照群6頭,迷走神経幹切断群6頭に,静脈内ブドウ糖負荷試験を施行し,膵内分泌動態におよぼす迷走神経の影響について検討した.
 1)インスリン:迷走神経幹切断は,インスリンの基礎値にあきらかな変化をおよぼさなかった.しかし,ブドウ糖静脈内注入によるインスリン反応は,対照群にくらべて迷切群の方があきらかに低かった.
 2)膵グルカゴン:対照群,迷切群の基礎値に,有意な差を認めなかった.また,ブドウ糖静脈内注入により,両群とも抑制反応が見られたが,両群間にあきらかな差を認めなかった.
 3)pancreatic polypeptide(PP):迷切群の基礎値は,対照群にくらべ著しい低値を示した.ブドウ糖静脈内注入により,両群とも抑制反応が見られたが,対照群では基礎値の45%まで抑制されたのにくらべ,迷切群では基礎値の77%までしか抑制されなかった.
 これらの成績より,迷走神経は,インスリンや膵グルカゴンの基礎分泌に対して,あきらかな関与は認められなかったが,PPの基礎分泌に強い影響を与えていることが示され,また,静脈内ブドウ糖負荷試験時のインスリン反応と,PP分泌抑制反応にも関与することが示唆された.

索引用語
膵内分泌, 静脈内ブドウ糖負荷試験, インスリン, 膵グルカゴン, pancreatic polypeptide

日消外会誌 14: 566-570, 1981

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