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第14巻 第5号 1981年5月 [目次] [全文 ( PDF 793KB)]
原著

実験的絞扼性イレウスに見られる血中無機燐上昇の機構

河野 研一

帝京大学医学部第1生化学・第1外科

 イヌを用いた絞扼性イレウスモデルでは,血漿および腹水の無機燐値が上昇したが,腸バッグ使用によりうっ血腸管由来の漏出液無機燐が血中に入るルートを絶ったモデルでも血漿無機燐値は上昇した.これらの血漿無機燐値の上昇は,脱血による低血圧実験状態でもみられた.さらに,その由来を検索するため,ラットを用い各種臓器組織の燐脂質およびATPの測定を行った結果,検索したすべての臓器組織中ATPは著減した.すなわち,血漿無機燐値の上昇には腸管局所の因子のみならず全身的因子,とくに組織中ATP産生の低下が関与していると考えられる.

索引用語
絞扼性イレウス, 無機燐値, 腸バッグ, 燐脂質, ATP (Adenosine triphosphate)

日消外会誌 14: 678-686, 1981

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