原著
食道癌術前照射療法における患者細胞性免疫能の検討―溶連菌製剤OK-432の投与効果―
朴 採俊, 多淵 芳樹, 南 正樹, 井上 和則, 滝口 安彦, 佐藤 美晴, 川口 勝徳, 斉藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
食道癌に対する術前照射と溶連菌製剤OK 432の併用が,生体の細胞性免疫能と癌病巣にいかなる影響をおよぼすかについて検討した.食道癌の非照射例の50%は自己癌細胞に対する高いリンパ球幼若化を示し,照射例の14%と比べて高率な傾向を示した.PHAによるリンパ球幼若化は術前照射(2,000~4,000 rads)によって抑制されたが,OK-432投与によりその抑制の軽減がみられた.また術前照射例は非照射例と比べて癌病巣の単核細胞浸潤は軽度であり,局所免疫の低下が示唆された.しかし照射中にOK-432を併用した症例では単核細胞浸潤が高度であり,放射線効果高度な傾向がみられた.
索引用語
食道癌, 術前照射, 細胞性免疫, 放射線効果, 免疫賦活療法
日消外会誌 14: 1147-1152, 1981
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