原著
胃十二指腸併存潰瘍に対する手術術式の検討―胃酸分泌動態,胃幽門洞および十二指腸粘膜の病理組織学的検索を中心に―
花上 仁, 野本 信之助, 村松 泰, 坂野 哲哉, 杉本 辰雄, 永井 研治, 北山 太朗, 瀬戸 明, 吉崎 聰
名古屋保健衛生大学外科
胃十二指腸併存潰瘍の手術術式を術前のガストリン刺激胃液検査による酸分泌動態と切除標本における胃幽門洞および十二指腸粘膜の病理組織学的所見から検討した.胃十二指腸併存潰瘍群は,胃病変の程度にかかわらず胃潰瘍群に一致した年齢,性分布を,また十二指腸潰瘍群に一致した酸分泌動態を示した.幽門洞粘膜の病理組織学的所見では,胃病変がUI-IVの群では胃潰瘍群の如く高度の粘膜萎縮,腸上皮化生等の胃炎性変化が認められたがUI-II~IIIの群では十二指腸潰瘍群の如く軽度に認められた.胃十二指腸併存潰瘍は十二指腸潰瘍の如く選近迷切の適応となるが,胃病変が高度な場合には選迷切兼幽門洞切除術がより適応となると考えられる.
索引用語
胃十二指腸併存潰瘍, 胃粘膜防御因子, ブルンネル腺
日消外会誌 14: 1153-1159, 1981
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