原著
大腸癌におけるCEAの臨床病理学的研究
植木 重文, 岡本 英三, 桑田 圭司, 豊坂 昭弘
兵庫医科大学第1外科
手術前後にわたり血清CEAを追跡し得た大腸癌57例を用い,CEAに強い影響を及ぼす病理学的因子の検索,ならびにCEA測定の臨床的意義について検討した.大腸癌は陽性率58%,平均値7.2 ng/ml(正常値3 ng/ml以下)と他の消化器癌に対し高値(P≦0.05)であった.とくに肝転移群は平均値24.7 ng/mlと非肝転移群に比して有意に高値(P≦0.01)を示した.CEA値は癌の長径及び深達度,すなわち腫瘍容積と相関した.組織学的には分化程度が高い程CEA値は高く,とくに粘液癌は高い値(p≦0.01)を示した.根治的切除によりCEA値は正常化するが,再発に際しては臨床症状出現に先行して再上昇した.また再発は術前のCEA値が高い程その危険性が高く,特に5 ng/ml以上の場合には再発傾向が強い.
索引用語
carcinoembryonic antigen (CEA), 大腸癌とCEA, 大腸癌組織像とCEA, 大腸癌進展度とCEA, 大腸癌再発形式とCEA
日消外会誌 14: 1221-1229, 1981
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