原著
胃癌術前のIAPおよびCEA測定の意義
咲田 雅一, 春日 正己, 山根 哲郎, 鳥井 剛司, 今井 均, 藤田 佳宏, 間島 進
京都府立医科大学第1外科
胃癌68例を対象に,その術前のIAP値とCEA値を検討して以下の結果を得た.術前のIAP・CEA値は癌の進行度とよく相関し,とくにIAPが600 µg/ml以上,CEAが5 ng/ml以上の症例では高率にstage III以上の進行癌であること,IAPは腹膜播種,CEAは肝転移で高値を示す傾向にあること,IAP・CEAの術前の同時測定により治癒切除手術の可能性を予測し得ること,IAPはskin testやリンパ球芽球化反応と逆相関し免疫抑制作用が顕著であるが,CEAの免疫能への影響はほとんど認められないことが判った.これらのことよりIAP・CEAともに腫瘍の消長をよく反映するが,とくにIAPは宿主の免疫抑制状態の示標ともなり得ることが示唆された.
索引用語
胃癌, IAP, CEA, 免疫抑制因子, 細胞性免疫能
日消外会誌 14: 1287-1293, 1981
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