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第14巻 第10号 1981年10月 [目次] [全文 ( PDF 501KB)]
原著

肝予備能からみた肝硬変併存食道癌の手術適応

山名 秀明, 掛川 暉夫, 武田 仁良, 武岡 有旭, 岩本 元一, 外山 俊二

久留米大学第1外科

 肝硬変合併食道癌はそのrisk factorの高さから根治性と安全性の両面から充分なる検討が必要である.今回,私どもが経験した5症例において安全性の面から肝予備力を中心として手術適応限界を検討してみた.肝予備力の判定には教室で食道静脈瘤の手術適応に使用しているK ICG,ICGRmax,HPT,PTT,Ch-E,50 g OGTT,Alubumin,および腹水の有無,からみた分類を応用し四段階に分類した.5症例を各Grade別に分けるとGrade I:〔右開胸開腹による根治手術可能〕が2例,Grade II:〔経腹的食道切除(blunt dissectionを含む)術可能〕が1例,Grade III:〔左開胸経横隔膜的開腹による食道切除術可能〕が2例,Grade IV:〔食道切除術不可能〕は無く,いずれも手術直接死亡はみられなかった.年齢,心肺および腎機能を考慮することは勿論であるが,このGrade分類により安全性の面からはほぼ満足し得る成績が収められるものと考えている.

索引用語
肝硬変併存食道癌, 肝硬変併存手術適応, 肝予備力

日消外会誌 14: 1414-1419, 1981

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