原著
肝再生に関する実験的研究―閉塞性黄疸解除後の肝切除ラットについて―
向山 憲男
名古屋大学医学部外科学第1講座(指導:弥政洋太郎教授)
ラットで閉塞性黄疸を作製し,1週間後に減黄,減黄6および24時間後に70%肝切除を行い減黄群とした.無処置ラットを対照群とし,同様の肝切除を行った.H3-thymidineを投与し,DNA合成をラジオオートグラフィで検索した.両群ともDNA合成ピークは肝切除24時間後にみられ,ピーク時の値は減黄群が対照群より有意に低かった.血液生化学値は減黄後24時間で正常域にもどった.黄疸持続2週間で減黄後,肝切除をした群も同様の方法で検索したが,DNA合成は1週間黄疸群に比べ有意に低かった.血液生化学値は黄疸2週間群では減黄後48時間で正常域にもどった.減黄後の切除肝の再生が対照より低いことは臨床上でも留意すべきであると考えた.
索引用語
閉塞性黄疸, 黄疸解除術, 肝切除, 肝再生, 肝予備能
日消外会誌 14: 1427-1435, 1981
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